一叢にして南限地君影草
鈴蘭の森は北向く杉木立
奈良・宇陀両市にまたがる森に南限の鈴蘭自生地があり、天然記念物に指定されている。
厳しい環境にさらされながら生き延びてきただけあって、人が踏み入れることも稀な森の中にあった。
両市それぞれ一カ所あるが、両方とも辛うじて車で行けてもすれ違いはとても無理な一本道である。終点の駐車場らしき広場に降り立つと、ツ~ンと杉の匂いが鼻をくすぐる。
自生地の手前には杉林があって間伐したばかりの木が何本も転がっているのだ。杉木立を抜けると、柵で保護された鈴蘭の群生が見られ、ようやく咲き始めたばかりという風情だ。
店で売られているような栽培種のものに比べて、花はずいぶん小さいのでいっそう楚々とした雰囲気に包まれている。
ちょっと心配なのは、柵で囲まれているさして広くない斜面の、その半分ほどは雑草に浸食されているようで、今咲いているものたちだっていつまでも無事であるとは限らないことだ。
間伐されて、すっきりとした杉木立からは風も抜けるし、光もわずかながら届く。
消えてしまわないよう、関係者の努力に期待したい。
「君影草」は「鈴蘭」の別名。五文字で締めたい場合に便利である。
まあ!なんという可憐さよ。
鈴蘭も良いけど君影草のほうがもっと素敵です。
貴重な南限の君影草が絶えることなく守られますように。
名前の通り、葉っぱの影に花が隠れるように咲いています。
でも、油断大敵。葉っぱも花も根も毒のある草らしい。怖いですね。
間違っても口にいれないように。
歳時記を開いて、鈴蘭が君影草だと知りました。
鈴蘭を知っているだけに、歳時記読み飛ばしていたようです。
鈴蘭、うちにもありますが、最近は紫蘭の勢いに負けて、狭い庭の隅のほうに、細々と生きながらえています。
60年くらい前に京都の祖父が北海道旅行した時のおみやげにもらったのが津でどんどん増え、関東にもってきてもずっと咲いていたのですが、どんどん減ってきています。
生態系まかせの私です。
このたび歳時記を開くまで副題「君影草」を知りませんでした。季題の本意を再確認する意味でも、作句のときは必ず目を通さなければいけませんね。
鈴蘭は比較的日陰を好んで、環境がいいとずいぶん増えますが、逆に強い紫蘭とかドクダミなどの浸食には負けるかもしれません。やはり涼しい北国のイメージがあって、紫外線が強く当たるような場所は似合いませんね。
「鈴蘭の森は北向く杉木立」
凛として 気持ちの好い句ですね。
“北向く”って言うのが とても効いています。
先週、大学時代の仲間と 相模湖南の石老山を歩いて
きましたが 低山ですから 尾根に杉木立が続いていました。
この句を先に見ていたら、スズランを探したのですが。
自生の鈴蘭は背も低くて、花も葉陰になってますから見つかりにくいかもしれませんね。あれば、ある程度は群れて咲きますので、次回根気よく探してみてください。
庭でも環境がよければ、年々株が増えていきますよ。