春行くも

抜け道へつづくたんぽぽ誘導灯

踏み固まれた径の両側に蒲公英が群れている。

道なき原に自然にできた径である。
近道として近隣の人が踏み固めたと思われる。
まるで、滑走路の誘導灯のようである。
在来タンポポは早くも姿を消したが、西洋タンポポはたくましいので夏にかけても咲き続けるのである。春惜しむ感傷はとうてい生まれてはこない。

防災行政無線放送

たんぽぽは寝まるそこの子帰りませ

この歳になるまで知らなかった。

蒲公英が眠ることを。日が沈みかけると蒲公英の花が閉じるのだ。
たまたま、庭にしぶとく根を張っているやつがいて、何度刈ってもまた息を吹き返してくる。今年はしばらく放置しておいたら、そいつがいくつも花をつけるほどのさばっているのだ。これが玄関の傍にあるものだから、朝、昼、夕のつど目に入ってくる。

この春休みから、町の「よい子は帰ろう」放送が冬の午後5時から6時に変更になっている。放送がある頃にはすっかり花を閉じているのが、新鮮な発見であった。