二人分

ルアー飛ぶ汀にひとつ土筆の子
草分けていまみどりごのつくしんぼ

行き止まりにある溜池に自転車が止まっていた。

もしや先客かと近づけば、どうやらルアー釣りを楽しむ人だった。
温かい日が続くので今日こそ顔を出しているのではないかと池の周りをチェックする。
いた、いた。生まれたての頭が青々とした土筆の赤ん坊である。ところどころ兄弟で顔を出した子たちもいるがまばらである。あと一週間ほどすれば一面に生まれてくるのではないか。
袴取りが大変だとクレームが出そうだが、二人分だけいただこうと思う。