温故知新

富める家の庭人知れず灸花
へくそかづら卑しからざる飛鳥かな
飛鳥いま電柱地下に灸花

夏の季語はまだごろごろと見られた。

この灸花(へくそかづら)もそのひとつ。
りっぱな構えの家だと思ったが、フェンスにはほつほつと灸花が咲いている。
触りさえしなければ、可憐な花だが、名前があまりにも悲しい。
ただ、飛鳥に来るといつも思うのだが、見えるもの、触れるものすべてがどこか懐かしく、逆にこの花などは名前とは裏腹に愛おしいばかりに可憐に思われてくる。
飛鳥は古い都址だが、行くたびに新しい発見がある。