遠い昭和

寄道を知らぬ下校児ゐのこづち
ゐのこづち昭和は遠くなりにけり

小学校から集団下校の子供たちがやって来る。

シニアの見守り隊に引率されて、おおむね皆おとなしく列を作っている。
このままあらかじめ決められた道をたどって家に着くのだろう。
こうした光景を見ながら、記憶は遠い昔をたどる。
めいめい仲のいい連中と連れだって、ときには道端のものに興味を示したり、道連れしたり、あるいはこの後一緒に遊ぶ約束をしたり、とにかくおとなしく帰るだけでは済まなかった日々を。
この時期外遊びすると服のあちこちにゐのこづち、通称ひっつき虫をつけてきて、玄関前などで頑丈なやつをはがしてから家の中へ入ったものだった。
これを互いに投げ合って相手の服に命中させる遊びもよくやった。
昭和はもはや記憶の遠いかなたにある。