恋の道具

ハンカチにおとな感じる少女かな

少年の頃、ちらと見たハンカチにフリルがついていた。

周囲にはそのようなハンカチを使う人は皆無だったので、いままで同級生としか思わなかった人が急に大人びてみえた。
汗じみた額を拭う仕草は晩生の少年をうろたえさせるには十分で、以来彼女は一歩も二歩もさきゆく大人として眩しい存在となった。
まさにハンカチは恋の道具となったのである。

梅雨晴れ間

ハンカチのポケットといふポケットに

ハンカチが何枚あっても足りぬ。

そう予測してあちこちのポケットにハンカチをしのばせているのだが。
案の定、昼頃にはもう汗みどろのしわくちゃなものばかりに。
ハンカチではなく、タオルを持ってくれば良かったと悔やんでも後の祭り。
この時分の吟行はハンカチなどで気取ってはいられないということだ。