一滴

舟形のカーブ嫋やかめろん掬ふ

毎年の頂き物のメロンが食べ頃となった。

夫婦二人で一度に一個は食べられないので、ひとり四分の一ずつくらいだろうか。家人がカーブした皮に沿って上手にカットを入れてくれるので食べやすい。
マンゴー、桃、葡萄、果物数あれど家庭のデザート果物としてはメロンが最高の贅沢品かもしれない。
一滴一滴雫をいとおしみながらゆっくり味わう午後となった。H君、いつもありがとう。

貧乏根性

一滴もあまさずメロン吸ふふたり

鳥取からいただきもののメロン。

たいそう高価なものだというのは肌を見てもすぐに分かる。
家人と二人だけでいただくにはあまりに大玉でなんとも贅沢なデザートである。
西瓜でもそうだが、あまい果物というのは皮がうすい。それをスプーンできっかり掬うようにいただくのである。芯の部分の甘いことは当然だが、このメロンは皮に近い部分まで十分に甘いのである。
その甘い果汁を一滴も残さずむさぼるようにすくい取ったのは、貧乏根性のなせる業か。
鳥取のH君、うまいものをありがとう。

ものは試しに

熟れごろのサインみさだめメロン切る

到来の大山メロンが甘い。

一個を切るだけで相当量の種がでてくるから、もしかしたらこれを保存して来年蒔いたら家でも作れるかもと試しに種とりしてみた。一個からだけでは心配なので別のメロンからも種を採ってみるつもりだ。
ブランドメロンなので苗にはなれない不稔性処理されているかもしれないので、あくまでも遊びとしてである。
二三年前に地元種屋が開発したというメロンに挑戦し、途中まではうまくいったのだが水はけの処理をミスして枯らしてしまった苦い経験がある。
なかなか難しい果物であるが、ものは試しとやってみようと思う。

旨し国伯耆

熟るるまで満を持したるメロン切る

鳥取に旨いものあり。

砂の恵みがもたらした砂丘辣韮はつとに知られているが、同じく砂州が発達した弓ヶ浜半島の葱も特産と聞く。
地域的には東から鳥取、倉吉、米子と隔てられて風土文化もそれぞれ特徴があるらしいが、今いただいているのは真ん中の倉吉地区のメロンである。桃など果樹の名産地でもあるということを知った。
このブログにもときおりコメントをくれるH君が、毎年律儀に贈ってくれる玉はこれ以上はないと言うくらい大玉である。
老夫婦二人だけだから、いっぺんに食べきれるものではなく、一個を何日かかけてはいただくのだが、これが日を置けば置くほど甘くなる。
鳥取とくれば大山、砂丘を思い浮かべる向きが多かろうが、実はこうした果樹や野菜に特化した強みがあり、カレイなど海の幸ももちろん特産である。
海無し県に住むものとしてはうらやましくてならないのである。

つきあい

身の置き場なきパーティのメロン食ふ

よんどころない事情の義理で出なければならないパーティ。

来てみたが、住む世界が全く別の人たちばかりで身の置き場がない。名刺を置いて乾杯だけつき合って、メロンだけ抓んでそそくさと会場をあとにしたものだ。

仕事を離れるともうこんなことしないですむ。肩が凝らなくていい。

甘い果汁

店頭の試食メロンや肉甘し

スーパーの前を通りかかったら、一口大に切られた試食用メロンが大皿に盛られている。用意されたばかりらしい黄色の肉はいかにも柔らかそうで、瑞々しい果汁が光っていた。