ゴクリと飲んでカランと鳴る

喉骨を鳴らし漢のラムネかな
喉骨は男の証ラムネ飲む

よくもあんな形を考えたものだ。

それに、地下鉄の電車ではないが、どうして瓶の中にあの丸いビー玉を入れるのか。
不思議でいて楽しい飲みものである。
あの独特の仕掛けゆえに、小さな子がうまく飲めなかったり、女性が遠慮がちに瓶を傾けたり。
その点、男はいい。
やや顔を上げ気味に一気飲みする男の喉骨が何回も上下するのが見えてくる。

真っ直ぐ行けば

和菓子屋にラムネの幕も吊られをり

東包永町の甘味処

西包永町から転害門に向かっては一直線の道だ。

楼門を新緑つつむ額とせり

京街道に面した門の奥には正倉院の緑がのぞいている。まるで楼門を額にした一幅の絵のようだ。さらにその奥の山は若草山で、道のゆるい登り傾斜もあって見晴らしがずっと続く。その道の途中、いかにも涼しげなラムネの吊り幕を掲げる店があった。普段は和菓子を扱う店らしく「とうふ菓子」が自慢の店らしいけど、夏の今は「冷やしラムネ」と書かれた幕がでんと店先にぶら下がっている。かなり昔から営んでいるような店の風情なので、母の子供の頃この店でラムネを買ってもらったことがあったのかもしれないが、はたしてどうだったか。

追)
その後の調べでは、この店の名は「萬林堂」といい、春日大社に献上する神饌「春日二梅枝」という銘菓も作っているんだとか。