鯉の恋

乗込の鯉の腹みせ水叩く

いつもはあれ程岸辺に集まることはないが今日はちがった。

橋の上からもはっきりと分かるほど、芽吹き柳の木の陰の浅瀬で、なかには腹のやや赤いものもいて何匹もの鯉たちが体を激しくこすりつけ合うように泳いでいる。テレビなどでよく見る魚の産卵シーンが、今眼下で繰り広げられているようだ。
時々浅瀬を叩くように大きな水音をたてながら遡っていくものもいれば、腹を見せるようにひらを打ちながら体をくねらせているのも見える。
どれが雌だか雄だか、ちょっと離れた橋の上からでは判別はつかないが、間違いなく鯉たちの産卵風景なんだろう。