帰り仕度

きらきら星流し五月の集塵車

心地いい風が吹く朝。

いつもの九時になると風に乗って「きらきら星」のメロディが流れてくる。
町の収集車である。
作者が当町出身ということで、夏の夕方六時、冬は五時に子供たちへの帰ろうコールの曲ともなる。
畑にいると、近くの小学校から午後五時には唱歌「夕焼け小焼け」が流れてくる。それを聞きながら「子供が帰ったあとからは〜♪」と歌いながら爺婆はもう一仕事してから帰るかとなるのである。
すっかり日が伸びたのでうっかりすると「きらきら星」が聞こえてきて、慌てて帰り仕度を始めることも多いのだが。

いい汗

汗かいて風ここちよき五月かな

飲んでも飲んでも喉が渇く。

小一時間動いただけで額から汗が流れる。
風があるうえ、空気が乾いているからいいようなものだが、これが間もなくじめじめとしたこの国特有の夏がやってくるとこんな暢気なことを言ってられない。
いまのうちに精々いい汗をかいておきたい。
季語重なりは承知の句となった。