救急車よぶに半刻余花の郷
鰻を食いに津まで。
高速道路で往復するだけでは能がない。新緑の時期でもあり、一度は通らなければと思っていた伊勢本街道経由でだ。
これが大正解。目にしみる新緑とはまさにこういうときを言うのか。
とくに、ちょっと寄り道した北畠神社に隣接する「北畠氏館跡庭園」はいかにも武家の庭らしく剛健そのもの。池をめぐらせてその護岸の石組みといい、庭園の石群がバランスよく配され、それら石群らの上には楓などの新緑が影を落としていて全体が緑がかってみえる。
枯山水といへど若葉明りせる
若葉して武士どもの館跡
伊勢本街道とはここで別れて、かつての名松線沿いの道路に戻ろうとしたら、県境の方から来たのであろう津ナンバーの救急車が来て、その後方を伴走する形となった。ところが、行けども行けども救急車は目的地に着かないらしい。とうとう旧久居警察署まで一緒することになった。その間約30分ほどだろうか。
おそらく旧久居市内の病院に向かったのであろうが、呼んでから迎えに来るまで30分として、異常があってから救急病院にたどりつくまで往復に最低1時間以上もかかる計算になる。平成の大合併もいいが、過疎地医療の深刻さというのは解決するどころか、さらに悪化しているのではないかとさえ思えてくるのだった。
疑はぬ廃線復活落花掃く
廃線の鉄路かげろふ奥伊勢路
廃線を糾ふ道の余花しげし