ダムの活用

公魚の群に手返し忙しき
ダムアーチ避けて公魚探りゆく
結氷の緩び公魚舟溜まり

公魚は春の季語だ。

もともと北日本の魚で、産卵のため早春に海から川をのぼってくるからだ。近年は養殖されて、山間の湖沼やダム湖などでは公魚釣りの釣り場としても人気が高い。
氷の上の穴釣りがよく知られるようになって、むしろ冬の魚かと勘違いしそうだが、結氷しない湖沼などでは秋から四月頃まで釣ることができるようだ。
奈良県では、吉野川の水を引いた灌漑用津風呂湖などが知られている。貸しボートもあるが、桟橋から糸を垂れるほうが簡単で人気が高いとか。

その場で

公魚の解禁哀し汚染池

ラヂヲで聞いたのだが、赤城山の方の沼でようやく公魚釣りが解禁されたが放射線汚染のため釣り上げた獲物は回収されているという。かわって食膳にのぼるのが北海道産だと。

公魚釣りというのは釣ったものをその場で揚げて食うのが醍醐味。似たものに船の鯊釣りがあるが、あれは船宿が前もって下準備したものを揚げるのであって、数寄という点において比べるべくもない。

釣り人にとっては、タバコ飲みがパイポを吸わされているような気分ではないだろうか。