重い雲

打ち直ししたき冬雲うつうつと

関東ではあまり見ない雲の季節である。

高さは比較的低い。厚さは相当あるが重くはない。日が当たって明るい部分はあるが中心は黒い。しれらが座布団の乱れた綿のようにいくつも浮いては流れてゆく。
これらの雲は日本海側の空を思い起こさせて気が重くなる。
晴れても関東のようにはからっとはならないのである。

雲が湧く山

葛城に日矢見ざるなし冬の雲

今日も葛城には雲がかかっている。

葛城を超えた冬雲は葛城の里に日矢を射しながら移ろってゆく。これが毎日のように見られるのが大和盆地南部の冬の光景だ。
日矢でないときは西から東へ時雨が走っている。
葛城の山裾が一日中晴れているという日はあまりないんじゃないか。
外出するたび、顔を上げれば遠くには日矢が大地を射している。