歓迎すべきこと

奈良格子奥に小暗き冬座敷

奈良町を歩いていると「奈良格子の家」として公開されている家に出会った。

通りに面した部分は角を荒く削った太い格子によってめぐらされている。
建物との距離は10センチ以上はあろうか。
これは、かつて春日大社の神鹿が神域のみならず街中も徘徊していたので、建物も鹿も保護するのが目的で考案されたものだそうである。

この日は格子の内側の戸が開かれていて、通りから鰻の寝床のように奥行きのある町家の座敷の奥まで見通せるようになっていた。うす暗い三間くらいの続き間の先にははっきりと坪庭が見通せる。

外人観光客数人が訪れていて、このような古い町家にまで外国人が関心を寄せるようになったのに驚く。有名観光地一辺倒のサイトシーイングから地に着いた文化への関心へ。
インバウンド消費もいいが、文化を通しての日本理解が進むこともまた大歓迎である。