ほんとの冬到来

凩や幟はためくコンビニ店

景色が急に変わった。

昨夜来の凩が街路樹のハナミズキをすべて吹き払ったらしい。
市街地にまで木枯らしが迷い込むようになった。
今朝の気温は三度まで落ち込んだという。
これに盆地一号の木枯らしが加わって、寒いのなんの。

宇陀や飛鳥の南・高取では霙も降ったと。
一気に冬到来だ。

木の葉隠れの術

凩の木っ葉も鳥も連れ去りぬ

最後の木枯らしだろうか。

ときに強い風が吹き、ざあーっと木の葉を散らす。思わず頭上をあおぐと、木の葉に紛れて鵯らしき鳥も一緒に飛んで、その行き先も葉っぱに隠れて定かではない。これぞ忍法・木の葉隠れの術にちがいない。

懐に入る

胎内に入れば凩やさしけれ

今日は凩の雨とも言えるような日。

朝から断続的に雨がふっていて、それに風が混じっているので木っ端が飛ぶ飛ぶ。枝にしがみついていた桜紅葉の名残もバラバラと散って、濡れ落ち葉状態だ。
ここ何日かのあいだに山の雑木紅葉もすっかり色を落ち着けて、いよいよ眠りにつく体勢が整ってきたようだ。

ただ、凩というものは襟をたてたりして抗うより、森の中など逃げ込めばどこかひとところには凩もまったく届かないような場所があるもので、そこは音一つすらしない。そんな現実とは思えない不思議な空間に自分が立っていることがある。そのときはまるで凩のおなかの中にいるような錯覚を覚えるのだ。