胎内に入れば凩やさしけれ
今日は凩の雨とも言えるような日。
朝から断続的に雨がふっていて、それに風が混じっているので木っ端が飛ぶ飛ぶ。枝にしがみついていた桜紅葉の名残もバラバラと散って、濡れ落ち葉状態だ。
ここ何日かのあいだに山の雑木紅葉もすっかり色を落ち着けて、いよいよ眠りにつく体勢が整ってきたようだ。
ただ、凩というものは襟をたてたりして抗うより、森の中など逃げ込めばどこかひとところには凩もまったく届かないような場所があるもので、そこは音一つすらしない。そんな現実とは思えない不思議な空間に自分が立っていることがある。そのときはまるで凩のおなかの中にいるような錯覚を覚えるのだ。