大栄翔やった

初場所の膝を崩さぬ溜り席

大栄翔の優勝は見事だった。

優勝は負ければもつれるかと心配していたが、文句なしの突き押し相撲でさすがの隠岐海もなすすべなし。
初場所が六年続きで初優勝の力士に栄冠とは、まさに世代交代を背景にした戦国時代を象徴するような出来事である。
大関になっても一気に綱をつかむ者が不在という、ある意味の混沌を抜け出すのはいったい誰だろうか。
ところで、家人と噂していたのだが、今場所は青房下の砂かぶりに正座したまま膝を崩さず15日間ぶっ通しで観戦しているご婦人がいた。たとえ一日だけでも高価な席、と言うか、特別会員でもなければ手に入らぬと思うがこういう時期にこのような人がいることに興味そそられるのである。

日本人横綱はいつ

初場所を話題に髪切る鋏かな

老人が理髪店まで息子(と思われる)の車で送られてきた。

亭主がいろいろ話しかけて分かったことだが、御年99歳、間もなく100歳だと言われる。兄弟は皆死んで残ったのはとうとう自分一人だということ、最近の相撲は全然見なくなったこと、その理由は外人力士ばかりふえてちっとも面白くなくなったこと、むしろ三月が待ち遠しいこと、甲子園やらプロ野球やら野球が始まるからだということ、それまではじっと我慢だと話し込んでいるうちに息子さんが迎えに来てくれた。
椅子からしっかり立ち上がり、ドアの外へも誰の手も借りず出て行かれた。

今年の野球をフルシーズン楽しまれること間違いない。

中日過ぎて

初場所や容易ならざる掲額かな

今場所から国技館の日本人優勝掲額が消えたという。

25場所も日本人力士の優勝がないなんて寂しすぎ。
今の星取状況では稀勢里にしか希望を託せないが、千秋楽まで希望をもたせて欲しいものだ。