初場所の膝を崩さぬ溜り席
大栄翔の優勝は見事だった。
優勝は負ければもつれるかと心配していたが、文句なしの突き押し相撲でさすがの隠岐海もなすすべなし。
初場所が六年続きで初優勝の力士に栄冠とは、まさに世代交代を背景にした戦国時代を象徴するような出来事である。
大関になっても一気に綱をつかむ者が不在という、ある意味の混沌を抜け出すのはいったい誰だろうか。
ところで、家人と噂していたのだが、今場所は青房下の砂かぶりに正座したまま膝を崩さず15日間ぶっ通しで観戦しているご婦人がいた。たとえ一日だけでも高価な席、と言うか、特別会員でもなければ手に入らぬと思うがこういう時期にこのような人がいることに興味そそられるのである。