夏と言えば蝉

初蝉や朝の景色の新たなる

ようやく聞いた。

遠くで蝉で鳴いている。
庭で鳴かれると鬱陶しいものだが、遠くで鳴く分にはようやく夏が來たという思いに包まれる。
自分にとってやはり蝉は夏そのものなのである。
この蒸し暑い梅雨が明ける頃には庭にも出現して、いよいよ騒がしい夏の到来となろう。
ただ、近年は油蝉を見ることはすくなく熊蝉ばかりなのが気がかりである。
子供たちが小さい頃蝉取りをしたのはほとんどみんな油蝉だったのが、今となっては懐かしい。

体力をつけて

初蝉のおもむろに数増しゆけり
初蝉のさはにとはならぬなり
初蝉の一声ありて止みにけり

今日も朝から蒸し暑い。

朝のルーティンが終わる頃、待望の風が吹き始めたので窓を全開して汗を引かせていると、鎮守の森の方からかすかな蝉の声が聞こえてくる。家人を呼んで聞かせようとしたが、すぐに止んでしまう。
家人があきらめて戻ろうとしたら「聞こえる」と言う。確かに、今度は少なくとも二匹が鳴いているようだ。声の低いのと高いのと。
低いのはクマゼミかもしれない。高いのはニイニイゼミか。
やがて、二匹以上が鳴くような合唱に変わっていったが、それは長くは続かなかった。
全身全霊をこめて鳴くにはまだ体力が追いついてないのかも知れない。