落差

息吸うてすうて不発の嚔かな

うっかりうたた寝がきいたのか。

くしゃみが出そうになるのだが、息を何度も吸うだけで出そうで出ない。
大声を出してようやくケリとなったが、これもよくあることだ。
予報があたり今日は冷たい雨である。体を動かさないともう一枚重ねたくなるような日中である。
明日朝は十度以下に一気に冷え込む予報も出て、ここ数日との落差にやれやれと思うばかり。
夏から一気に真冬になる勘定になりそうである。

粘膜

往来に誰はばからん大くさめ

この時期のアレルギーは何だろうか。

おもわず出てしまったくしゃみ。
たまたま周りにはだれもいず、作法も何もあったものじゃない。おもいきりのハックションもすぐに吸い込まれて誰のおとがめもなし。
しかし、家に戻ったら今度は水洟。そう言えば日に何遍も鼻をかむので、どうやらこれは飼い猫アレルギーかもしれないと思う。
玄関の柊がそこはかとなく香りだしてきて、いよいよ鼻の粘膜にはとっては刺激が強くなってきて忙しくなったようである。

視線

来る見えて視線集むる嚔かな

はなみずもくしゃみも、それに咳も。

人前では思わぬ視線を集め顰蹙をかう仕草だが、どれも自分の意志とは関係なく出るものなので抑えようがないのは困りものである。
街へも出て行けない。

家を守る

嚔してにはか鰥夫のおさんどん

今日で七日目。

三度三度飯を作り、掃除に洗濯、そして猫どもの三度の飯の世話もする。
洗濯物取り込みを忘れて夜露に濡らしてしまったり、一回だけ買い物ついでにラーメン屋に立ち寄ったが、我ながらがんばっている。
急に冷え込んできたせいか、二日目辺りで水洟がやたらでて鼻が痛くなったもののようやく治まってきたか。
明日は、ちょっと足りないものの買い物もしなければならない。
要領が悪いせいか、なかなかゆっくり散歩するということもままならないものだ。

猫の苦手なもの

断りて天下晴れての嚔かな
すれ違ひざまの嚔の漢かな
くしゃみして猫の不興を買ひにけり

くしゃみを怺えるのは難しい。

たまに、出そうでいて不発におわると周りのほっとした瞬間を感じるときもあれば、いきなり大きなくしゃみをして周りの顰蹙、不興を買うときもある。そういう場合はハンカチで抑えるとか、手で覆うというようないとまはまずなく、満員電車とか、喫茶店とか、閉所に人が詰まっているような場所なら間違いなく冷たい視線にさらされるし。
たしかに、逆の立場となってみれば、マスクくらいしてろよとか言いたくなるもの。
せめて、間が取れて周りに断ってからのくしゃみなら、後ろめたさも幾分はれて心置きなくぶっぱなすことができそうだ。
ただ、他人に向かっては間違ってもしてはいけないのは無論である。

先々代の猫は、家人の周波数の高そうなくしゃみが苦手で、必ず声をあげて抗議していたものだ。猫だって、耳障りになるようなくしゃみは苦手なのだ。