百千鳥

囀りや高度上げゆく信貴参道

ケーブルカー跡だから一直線である。

当然ながら傾斜はきつく、変化に乏しい道のうえ展望がきかないのでちっとも楽しくない。
その退屈を慰めてくれるのが鳥の声で、この時期は恋の季節だから当然賑やかかつ派手やかに鳴いてくれる。

七里御浜

囀りや沖の三里の黒き潮

囀りというと熊野の海を思い出す。

木本に始まる七里御浜だが、その北端を海に迫り出すように獅子岩、そして花の窟が突きでている。いずれも大きな一枚岩だが、あたりは海桐(とべら)の木が生い茂っていかにも海岸地方らしい雰囲気を漂わしている。
この海桐などの灌木をつたって鳥たちが降りてきては、春を謳歌する声を聞かせてくれるのだ。

今頃はメジロがいいリズムでさえずっている頃だろう。

都会化した生き物

コンクリで固めた街に囀れり

テレビの取材が始まるようである。

テーマは都会化した翡翠の生態。
かつての川仲間たちが案内の先導を勤めるらしい。
婚活から抱卵、巣立ちまでの一部始終があのミクロな世界を映し出すカメラワークで明らかになるのだと思うとできあがりが楽しみだ。

春がいよいよ本格化してきた今が彼らの婚活真っ最中。
雌が雄のテリトリーに入ってきて餌をねだる。この求愛給餌が成立するとカップル誕生である。
早ければ4月末から5月初にかけて一番子(年に3回ほど産卵子育てする)の巣立ちが見られる。