万物の命

土佐の名を負ふるみずきの萌葱かな

単なる黄色とは違う。

咲きはじめの土佐ミズキや日向ミズキはやや緑を帯びた、文字通りの「萌える」色の風合いがあり、それがまた初々しい印象を強くさせる。
土佐ミズキは細い枝だが意外に高く伸びるので、見上げる位置に鈴のような花をぶらさげる。葉もまだつけない枝が空に突きだして、そこに瑞々しい萌黄が点滅するのだから、青い空との対比が美しい。
冬に眠っていた大地のあちこちに、黄色を主体とした色が一気に燃え上がってくる、万物の命というものに感動が尽きない季節である。

橋渡し

動揺を見透かされたり土佐水木

低木のわりには目立つ花である。

まわりがまだ殺風景な、桜の少し前くらいに咲くので、あの緑がかった黄色の花は目につきやすいからだろう。
燕の初飛行を目撃した県立馬見丘陵公園で、この間までの梅に替わって主役を務めている。桜までのつなぎ役と言っては土佐水木に失礼かもしれないが、そういうタイミングで咲く花と覚えておけばよい。
うっかり写真を撮ってくるのを忘れたので絵では紹介できないが、房のようにぶらさがった姿はユニークである。