その前夜地虫の声も聞かれずに
明日入院する。
検査入院という形だが実際には同時に不具合箇所の処置をするらしいので、手術入院と同じことだ。CT検査だと造影剤による腎臓への負担が大きすぎるという担当医の判断で、単刀直入のやり方のようだ。
姻戚に何度か同じ処置を受けている人もいて、特別大変でもなさそうだとは思っているのだが、蓋を開けてみてさあとなったらその時はその時。すべてをお医者に任せるしかない。
過去六十数年、一度も病院のベッドで過ごした経験がないので前夜の今晩になって箸箱をどうしようかとなって、いろいろ現実味を帯びてくると何だか少し心細い気がしてくる。
先ほどからまた雨がぱらぱら降ってきて、虫の声も気のせいか遠いようである。