身じろぎて烏発つなく大夕立
大夕立だった。
むせ返るようななかの吟行を終え、句会場に落ち着いた頃に凄まじいまでの風と雨が襲ってきた。スマホの雨雲レーダーでは、はっきりと捕らえられた雲が映る。明日香、吉野のあたりを通過中で、警報も出たみたいである。
東、南にある山がみるみるかき消されてゆく。
雨は会場の公民館の太い樋をあふれ、ざあざあと落ちてくる。低く飛んできた烏が物置に止まったものの、雨にさんざん叩かれるせいか、さかんに首を上下させては足踏みもしている。それでも飛び立たないで留まっているのは、飛ぶときではないと思っているのだろうか。この大夕立を奇貨として、席題と受け取って見事に読み切った句友もいてさすがだとうなった。
1時間くらいは降ったであろうか。句会が終了と同時にぴたっと雨が上がった。