空気一変

夕立の戸を叩くこと二十分

来るぞ、来るぞ。

西から真っ黒な雲が近づいてくる。
町のアラートでは豪雨と出ている。
やがて家の前の電線が揺れ、雨が窓、玄関ドアを激しくたたきだす。
稲光、そして雷鳴。お決まりの夕立だが、これは北九州に甚大な被害を与えている長い前線に向かって四国の方面からやってきた雨のようだ。
夕立去って、それまでの息苦しいほどの蒸し暑さはいったい何処へ行ったのかと思う涼しさになったのはいいが、プランターや鉢ものがみななぎ倒されてその片付けもままならない。朝に持ち越しである。

日照り雨

そばへして雷の夕立きたりけり

贅沢な天気の日だった。

ようやく雨が上がって晴れたかと思うと急激な気温上昇。さすがにこれは体にこたえる。
鉢の植物がいっきに元気がなくなるのもこんなときだ。雨をたっぷりふくんだまま、いわゆる高温多湿に見舞われると繊細なものにかぎって萎れてしまうことがある。蒸れによわい仲間がそうである。
そして、夕方文字通り夕立があって、その前触れがこの時期としては長く続く雷が上空にとどまった。その夕立もいわゆる日照り雨で、その極端な差は狐の嫁入りというようなやさしいものではない。
夕方の斜めからさす光が家々の壁に突き刺すように明るいのに雨は土砂降り。盆地のこの一画だけ、スポット的に強い雨が降り続けて30分ほど。夕方の光だけを残して雨は止んだ。

発芽半作

こつち来い夕立雲に呼びかける

今日もまた空振りだった。

いつものようにすぐ西の空が真っ黒なのに南東の方向へ流れてゆく。ひと雨来れば野菜たちも喜ぶだろうにただ恨めしく見送るだけ。
夕立雲の傾向はどうも信貴山にぶつかって左右に分かれるようである。標高400メートルちょっとしかないのに空気の流れにそんな影響をもたらす力があるのだろうか。おそらく県境の大和川を隘路としてそこが鞴となって空気の流れがあり、その引力で夕立雲も引き込まれるのにちがいない。そこで大和川に沿って夕立が走ってゆくのだろう。それが盆地西端大和川北岸エリアに雨が少ない理由に違いない。ただでさえ盆地は水が少ないというのに当地は雨に恵まれない。
かくして今日も菜園へポリタンに水を捧げ持ち行く。
人参第一弾の種まきのためだ。人参は発芽さえしてしまえば大きな問題はないと言っていいほど大事だが、そのためには湿り気が欠かせないのである。

下校時

夕立や黄帽子黄傘ランドセル

午後3時頃、典型的な夕立があった。

30度を超える快晴なのに急に上空に雨雲がわいたことをレーダーが示していた。
大概は浪速の方から雨雲が流れてくるのだが、今日のにかぎって前触れのない突然の雨である。
こうした降り方は昔はよくあったものだが、昨今はとんとおめにかからない。
ちょうど下校時刻に当たっていて、降り始めは当然誰もが傘を手に持ってないが、遅れて帰ってくる子たちはどれも黄色い傘をさしている。
下校時に降ってなかった子と、降っていた子との差だろうが、頭上の雷を怖れる子は一人もいない。自分を鼓舞するように歌さえ歌う子もいて元気なものだ。
半時間ほど降らせた雨雲は東の方へ去って行ったが、菜園は思ったよりしっとり濡れていて今日の水やりは必要ない状態とみえた。
明日後半は間違いなく雨がくるようなので、午前中が勝負になる。

お湿り

ひと夕立あると思へる雲たちぬ

ゆうべ待望の雨があったようだ。

ようだというのは今朝起きてみて外がいくらか湿っていたからである。だが、期待したほどの雨量でもなさそうである。
結局いつも来るぞ来るぞという予報ばかりで、しっかり降ったことはほとんどないのである。
今日も日中はかんかん照りで、空振りを予感。夕方畑におりるとようやく20分ほど雨雲が頭上を覆ったが、お湿り程度では雨後はかえって蒸し暑くなって夕立のあとの爽やかさからはほど遠い。

着々

朝打ちし生コンたたく白雨かな

最近は骨材に砂利を入れてないみたいだ。

代わりに人工的なものを混ぜているのだろう。でなければ、高さ10メートルもあろうかというノズルに生コンを送り出すことは不可能だからである。
それに乾くのも早い。生コンの成分も昔に比べればずいぶん変わったのだろう。
隣地は着々と新築工事が進んでいる。
今日は久しぶりに夕立らしい夕立がきた。大きな雨音に浅い昼寝を破られた。夕立の後はすっと涼しくなったような気がする。

同志

やり過ごす軒なき街の夕立かな

久しぶりに夕立らしい夕立に遭った。

だが、新興団地では雨宿りしたくても軒を貸してくれるような家はない。
道路とは門や塀、生け垣でへだてられ、ちょいの間だけ軒先借り受けるというわけにはいかないからだ。
市街地でも土地いっぱいに家を建てたりして、なかなか軒のある家というのは少なくなった。
ひとつの軒で数人がひととき同志でいられる、あの昔ながらの「雨宿り」というものは、もはや死語に近い言葉かも知れない。

それにしても、今日の夕立は短かすぎて、その後いちだんと蒸し暑さがましたようである。