庶民の口

寄鍋に遅れし人へ蟹の爪
寄鍋の衆みな眼鏡かけしまま
寄鍋の世話する人の赤襷
寄鍋の酒も尽きたる饂飩かな

空はいつからか雪催い。

昼間から灯りをつけて炬燵から出られない。
こんな日は鍋にかぎるというところだが、今年はやたら鍋の出番が多い気がする。
ただ、葉ものが高くて毎日とはいかないらしい。
蛤に蟹など魚介たっぷりの寄せ鍋もいいが、これも自宅でとなると相当ぜいたくな部に入りそうである。
鍋と言っても、せいぜい水炊き、牡蠣鍋くらいが庶民の口に合いそうだ。
さいわい今年は広島の牡蠣がことのほかうまい。奈良のような山ぐにでも新鮮なものが食えるのはありがたいことである。