寒鯉のよく跳ねる日や風のなき
大きな水音がしたので思わず振り向いた。
鯉がジャンプしたのだ。目を向けたときには既に姿はなく、大きな波紋が広がっているだけだった。あの広い大和川にはけっこうな数の鯉が生息しており、橋の上からは一斉に上流に頭を向けて尾びれを振っている姿を見ることができる。あのジャンプというのが何のためかは極められてないらしいが、重そうな図体をよくもあれだけ持ち上げられるものだ。
釣り針にかけたスズキがジャンプして針を外すことを「エラ洗い」というが、鯉のジャンプも同じくらいダイナミックな感じがするな。