峠の茶屋

心太すすれば峠下るだけ
心太とどのつまりは酢を腹に

峠の茶屋の一服は心太。

山の清水で冷やされた心太をめざとく見つけたのだ。
峠とはいえ、この日は猛暑。心太など一気にすすってごちそうさまだ。
口の中を酸っぱさが走っただけだった。
あれはどこの峠だったか。

那須高原の思い出

やうやうの峠茶屋には心太

もう随分昔のことだ、

真夏にニッコウキスゲで有名な那須の高原をドライブしていたとき、トンネルを抜けたところにある茶店で「ところてん」と染め抜かれた幟をみてみんなが食べていこうと言う。
寒天ならいろんな食べ方も知っていたが、実は心太は食わず嫌いなのかどうか、それまで食べたことがなかったのだった。最初はおそるおそる口にしたのだが、高原とは言え汗がだらだら滴るような夏の日で、その冷たい口あたりと喉ごしの心地よさに瞬くまにずるずると吸い込むように飲み込んだしまった。心太というのはこんなにうまいものだったのかと見直すような気になったものだ。

それが心太とのなれ初めだったが、その後また縁遠くなり1,2度くらいしか食べた記憶がない。あるにしても、ただつゆが酸っぱかったりして、あの暑い日の高原で食べた「うまさ」というのを感じられないでいる。
心太は暑い盛りに、喉が渇いているときでないと旨くは思えないものなのかもしれない。