夜目にも白く

お悔やみを述ぶ息白し通夜の客
連れ立ちて通夜の後尾に息白き
通夜席に知る辺見つけて息白く

通夜という席で言葉を交わすのはせいぜい受付の記帳のときくらいだ。

あとはご焼香までひたすら沈默の時間となる。
そういうとき通夜の列の中に顔見知りを見つけたりすると、ほっとするところがある。
手短に挨拶を交わし、故人の話から、ときには自分たちの近況を確かめ合ったり。
席を辞したら、駅前辺りで旧交を温め合ったり。
屋台ではおでんの湯気に包まれて、家路につく頃には息はいっそう長く引いている。