矜持

捨案山子誰が見んとて見得を切る

とっくに稲刈り、稲架掛けも終わった田に立っている。

妙にリアルっぽい案山子三体がある。
最初のうちこそ色鮮やかな衣装を着ていたが、それも近ごろは色あせが目立ってきてますます貧弱に見えてくる。
田主にしてみれば、目の前にある学校の児童たちに見せたいのであろうが、集団下校で隊列を組んで帰る子供たちには視線さえもらえないでいるのがいよいよ哀れである。
役割を終えたものたちに、引き際という矜持をもたせてやりたいものだ。