新盆や聞き慣れぬ香のくすぶりぬ
母の名が大きく書かれた荷物が届いた。
今頃になって誰がと宛先をよくよく見たら「ご遺族様」と一段小さく書かれている。贈り主が母が最後にお世話になった病院で、なかみは桐箱に入った線香だった。ここは家族でさえできないことまで何くれと面倒をみていただいた病院で、ほんとうにありがたいことだったが、こうして新盆の見舞いまで贈ってくれると何とケアの行き届いた、事務もしっかりした病院なんだろうかとあらためて驚かされる。自分の最後もこうした病院の世話になれば家族も随分助かるだろうなあと思うのだが、果たして。