南半分

春の山踏んでたもとを大和川

起伏が多い町。

平になったかと思うとそこはもう大和川にしがみつくような狭い街である。
街の大部分が信貴山とそれにに連なる山地のふもとにあると言っていい。だから山を踏むなどとオーバーな言い方などせずとも、街を歩けばすべて春の山を踏んでるようなものなのである。
ちょっと小高いところに出れば盆地の半分以上は望めるし、足もとには盆地の川という川を集めた大和川が悠然とながれるさまが眺められる。
盆地の半分と言うのは、ちょうど法隆寺から矢田丘陵にかけての山陵が視界を遮っていて北側半分がまったく陰になっているからである。だが、南半分だけでも大三山はじめ二上山、吉野山、多武峰、音羽三山、見通しのいい日には県境の高見山まで名だたる山々が見渡せる。
桜はまだだが今は雪柳も満開。街のいたるところで春の花が咲いている。