使い切る

降りやまぬ街浮かびけり春の雷

雨の一日のハイライトが雷だった。

稲光りといい音といい、現象面から言えばこれはもう夏のものと変わらない。一度ならず、何度も光った。
例によってうたた寝中の猫どもはどこへ身を隠そうかと右往左往している。猫は大きな音が恐いのである。めいめいがそれぞれの場所にもぐり込んで雷が遠ざかってもしばらくは出てこなかった。
長かった雨も甲子園球場では午後から再開できるほど雨雲が遠くに去り、明日は久しぶりの晴になるという。ただその次の日はまた雨らしく、明日は束の間の晴れをフルに使い切る日としたいものだ。

気まぐれ

春の雷惰眠の床に落ちにけり

一昨日だったか睡眠中の真上に雷があった。

びっくりするくらいの大きな音だったが、その後はぱったりと止んでそれっきり。
たいした雨も降らせずずいぶん気まぐれな雷もあるもので、それが春の雷というものかもしれない。
眠りの途中だからすぐに戻れたのだが、朝になっても腹に来る一発の記憶は残っていた。
当地では今夜からあすにかけて雷予報がでている。どうか眠りをじゃましないようお願いします。

春ごたつ

いくそたび春の雷とは思はれず

大きな鉢が飛ばされた。

まる一日大暴れして今夕ようやく去ったようだ。
昨日などはいまどきの雷とは思われないような凄まじさ。
何度も光っては鳴り、まるで夏の雷のようであった。
一転して今日は寒い日となり、久しぶりに炬燵ならぬ床暖房が入り猫どもはそそくさともぐり込んでいった。