春の大潮

春潮の根掛かり多き沈(しも)りかな

「沈り」とは沈み根のことである。

春の潮は満ち引きの差が大きいので、干潮時普段は見えない岩礁がこのときだけは頭を出すことがある。複雑な岩礁帯こそ魚が集まるポイントなので、その間を縫って仕掛けを投入するのだが、スペースがどうしても狭められるので「根掛かり」と言って仕掛けが岩礁に引っかかってしまう確率がどうしても高くなる。
無理して干潮時に釣らずとも満潮時にすればいいじゃないかというご指摘はごもっともだが、満潮時は満潮時で問題も多い。春の大潮時は気がつかずにいると、岩礁にひとり取り残されてしまうなどの危険性もあるのだ。