これが終わると

僧形が行を終える日春装ひ

本当はお水取り、お松明を見物に行くつもりだった。

早く市内に着いたので例の大仏パンを買ったあと、いわゆる「ならまち」歩き。
おおよそ奈良町というのは、かつて興福寺と並んで栄えた元興寺の元境内にあたり、15世紀に火事で焼けて以来民衆が住みついた町である。広い、広い。



その広いエリアのところどころに往時の元興寺を偲ばせる建物などが点在するわけだが、往時高さ50メートルを超え興福寺の五重塔さえしのぐ塔があったとされる区画が、今では礎石だけを残してその周りを住宅に囲まれているのはいかにも肩身がせまそうである。
塔跡の大きな桜もまだ蕾が固く、ようやく顔を出した土筆だけがわびしい気持ちを和ませてくれた。

そろそろコーヒーでも飲んで一休みしようかという矢先雨が降ってきて寒くなるわで、お松明が始まるまであと3時間の過ごしようがなく日をあらためて出直しとなった。

今日はいわゆるフォト俳句風に仕上げてみた。
「つかず離れず」、難しいものである。