お勤め

猫に餌やらねばならぬ朝寝かな

二度寝ほど気持ちいいものはない。

ところが、いくら自由の身とは言え時間にしまりがなくては懈怠の精神が肉体に宿ってもう後戻りできないほど自堕落な人生に落ちそうである。
辛うじてそれを救ってくれるのがペットの存在だ。五匹の猫の食は飼い主に完全に依存している。五つの命の命運を握る責任者としてはもっと寝ていたいと思うところをぐっとこらえてベッドを出る。
出ればいつものルーチンがスタートする。どれひとつとしてかけることのないお勤めである。

夢の中でも

晩飯を記憶に探る朝寝かな

認知症というのは近々のものから忘れてゆくのだと言う。

因みに、朝食った物や昨夜食った物をすらすらと言えるかどうか。これが怪しいとちょっと心配した方がいいらしい。
掃除機の音に寝覚めながら、昨夜食ったのは何だったとか反芻してみて「ああ、まだ大丈夫」と安心してまたうとうとと。朝寝はつくづくいいものである。