まっしぐら

蝋涙の湯のごと落つる朝曇

蝋燭に火を点けてすぐ蝋がしたたる。

朝から気温が高く、蝋の溶けるスピードがあきらかに違う。一気に蝋溜まりにまで落ちてしまうのだ。
今日も暑くなりそうだと思いながら、朝のお勤めの手を合わす。

仙人のご加護なく

まろやかに畝傍そばだつ朝ぐもり

台風が来るとあって蒸し暑い。

今度の台風は小型で足が速いので、来るときは一気に来るというが、今朝の空にはまだそんな気配は感じられなくてうっすらと曇っている様子である。普通こういう日は、朝のうちの曇りが晴れたらかんかん照りの暑い日になることが多いのだが、ちょっとは違うようだ。近くで見る畝傍山は心なしか輪郭がおぼろで、いつもの端正な佇まいとは異なった表情を見せている。

今日は久米寺、橿原神宮方面の吟行で、夕方来るという台風が気になり一同落ち着かない。
今日の主目的の久米寺は、あいにくあじさい祭が終わったばかりで、園は閉ざされていて多くの句友が残念がる。
次の神宮の深田池でようやく、睡蓮や、鷺のハーレム、など多くの句材が見つかって何とか投句はできたが、必ずしも意の通りではなく心は天気同様晴れない。

予兆

朝曇風呂をもらひに本館へ
朝曇塩を多めのゆで玉子

オーシャンビューが自慢のホテルなのに視界が開けない。

見えるのは足下のプールくらいで、ここは昨日親子が水遊びしていた場所だが、今朝はまだ誰もいない。
これが朝曇りと言うのだろうか。
朝曇りはこの日が暑くなる予兆という。確かに、日が高く昇るとともに気温がぐんぐん上がってきた。

大浴場は本館で、朝食は本館のビュッフェという決まりで、循環バスを待ちきれずブラブラ歩くことにした。
志摩半島はこの日、湿度80%くらい。とても呑気に吟行できるコンディションでなかった。

因習の呪縛

朝曇意を決したる第一歩

朝から風もなくどよーんとした薄曇り。

こうした日はいやな予感がする。「日照りの朝曇り」だ。
何をなすにもちょっとした気合いが必要で、思い切って踏み出す決心がないと乗り切れないのである。

就活に忙しい学生諸君はなおさら気の毒だ。普段着慣れぬリクルートスーツの呪縛から逃れきれず、おいそれとクールビズでとはいかないようだ。就職活動の解禁日をルール化するのはいいが、かえって学生を苦しめてはいまいか。