望の月

海の道光の道へ月おぼろ

今日は満月。

ひと月後は西行忌になりますね。
二三日前の月は春の月のものでした。
ぼーっと霞がかった月は文字通り朧月夜でした。
今日は雲が半ばしておりますが、この後おそらくみごとな朧月が望めるにちがいありません。なぜなら、夕刻になっても空気はとても生温く、春の夜の肌寒さからほど遠いものがあるからです。
さてどんな月夜になるか楽しみにしながら待つとしましょう。

本意

町広報戸ごとに配る朧かな
薄雲の行灯めける朧月

今宵の月こそ典型的な春の月だ。

薄絹をまとうような、薄雲の行灯明かりが夜空をひろくおぼろに照らしている。
秋の澄明とも、冬の玲瓏とも全く違う夜空で、それが下界を統べるがごとく頭上に広がっている。
まことに春の月とは、月単独ではもの足りず、水蒸気を帯びた空気、そして薄絹のような雲とあいまって朦朧の世界を生み出すのだ。考えてみると、これはまさしく季題の本意であり、いくら夜空をながめてもこの本意と響き合うような着想が浮かんでこないのは悲しい。

そんなことを考えながら、本年度班長として最後の広報を配って歩くのだった。