九月下旬の香り

木犀の香のみ散らして高き塀
木犀の香の高塀の向こふより木犀の香は高塀の向かうより
高塀を越えて香りの金木犀

高塀に囲まれた路地を歩いていたら、ふいに木犀の香りがした。

振り返ってみたが、木犀の姿は見えない。時期といい、たとえ姿は見えなくても木犀の香りだと確信できるそれである。
どうやら、左右どちらかの塀の内にあるらしい。
いよいよ9月も末なんだなあと実感できるシーンであった。

かほりと季節

新聞を取り出す朝の木犀かな

人工的な匂いが苦手だ。
車や部屋の芳香剤などはちょっと嗅いだだけでも頭痛になりそうだ。
ところが、花の香りならばよほど強いものでなければ問題ないのが不思議だ。

その花の香りといえば、日本人なら誰でも木犀を一番に挙げるのではないだろうか。
香りと季節との結びつけがこれほどぴったりするものはないからである。

今朝郵便受けに新聞を取り出しに出たら玄関の辺り一面が木犀の香りに包まれていた。