寂れた師走

逃げ場なき枯葉つむじの駐車場

風の強い一日であった。

更地になった一画を急ごしらえしたコイン駐車場を通りがかったら、一台も利用のないまま枯葉の吹き溜まりとなってそれを風が吹き上げている。
コロナの影響からか人の出入りも減って車の通りも心なしか減っているように思う。
がらがらの駐車場にからからと枯葉が乾いた音を聞くのは、どこかさびしい師走である。

いたちごっこ

自動扉開いて枯葉吸ひにけり

玄関先に落葉が集まっている。

風が強くて、会館の玄関先に吹き溜まりのように集まってくるのだ。
どうやら、ドアが開くたびに落葉が寄せられているのが原因のようだ。
係の人がそれをせっせと掃こうとするのだが、せっかく塵取りに集めた落葉がまた強い風にさらわれて、いたちごっこの様相をみせている。

葛城山麓で

葛城山

葛城山

葛城の隠れ雲間や冬日差し

風が穏やかだったので葛城山の麓まで遠出した。
二上山を過ぎ当麻寺(日本最古の梵鐘があった。中将姫が剃髪した寺としても有名とのこと)を見た後、竹内街道も過ぎ葛城市屋敷山古墳までの往復。
葛城の山々は曇りがちではっきりとは見えないが、雲間より幾条かの日差しが差し込んでいる。

古歌の丘風も吹かぬに枯葉降る

屋敷山公園として整備されている屋敷山古墳は葛城市最大の前方後円墳で、古墳が造られた時期は古墳時代中期にあたり、葛城氏の首長の墓と言われている。戦国時代には領主布施氏の館が築かれ、続いて江戸時代には大名桑山氏の陣屋が築かれたせいか、地元の人に聞いても城跡だというひともあればいや古墳だと言う人もいたが、形大きさからして元は古墳だったことが容易に推定できる。

池水に影さへ見えて咲きにほふ 馬酔木の花を袖に扱(こき)入れな・・・大伴家持

公園の濠跡と見られる場所に家持の歌が。

でも、やっぱりこの日はこれを見たかったのだ。


二上山。

あしひきの山のしづくに妹待つと我立ち濡れぬ山のしづくに・・・・大津皇子

当麻寺奥の院先に大津の石川女郎(いしかわ の いらつめ 大名児おおなこ)へ贈った歌の碑があった。歌碑の背には二上山が見えるのだがあいにく曇り日でうまく写らなかった。