波打ち際

サーファーの沖見るばかり桜貝

同じ桜でも貝の方だ。

さらに、桜貝といってもいろいろ種類があるらしい。やや茶がかかったカバザクラ、紅色のベニガイなど。でも、桜貝と言えば誰でも思い浮かべるのは、2センチあるかどうかくらいの大きさで、文字通り桜色している。しかも透けて見えるほど薄いので、いかにもはかなげで、かつファンタジーである。
貝を耳に当てると海の声がするというが、この貝は耳に当てるには小さすぎる。

海岸に着いたサーファーは、波の具合が気にかかって沖をみるばかりで、足許には注意を払おうとしない。波打ち際を歩いてみれば短時間のうちに桜貝の貝殻をいくつも拾えるというのに。

海から遠く

桜貝やつと見つけし皓歯かな
一握の砂に見つけし桜貝
鳴砂の小瓶にひとつ桜貝

天気に誘われて、久しぶりに車を磨いた。

洗車、車内掃除で2時間、昼飯をはさんでまた2時間のワックスがけ。
腕は痛いわ、腰は痛いわ。明日はもっとひどいことになるだろうけど。

午前中は頭上の雲雀君がおおいに楽しませてくれた。キヨノリ君に教えてもらった通り、目の焦点に気をつけて一生懸命探すが、なかなか見つからない。
見つからないわけだ。すぐそばの電柱の天辺に止まっていたのだから。意外に近い所にいたので、中距離に照準を合わせた焦点では見つからないわけだ。

雲雀にも、青空にもなんにも関係ない今日の季語は、今月の兼題のひとつ。
海から遠く離れたところに住んでると、縁が遠い季語だが、遠い記憶を呼び起こしたり、想像を働かせたりして。二句作らねばならないので、あとひとつ何とかしなきゃ。