サーファーの沖見るばかり桜貝
同じ桜でも貝の方だ。
さらに、桜貝といってもいろいろ種類があるらしい。やや茶がかかったカバザクラ、紅色のベニガイなど。でも、桜貝と言えば誰でも思い浮かべるのは、2センチあるかどうかくらいの大きさで、文字通り桜色している。しかも透けて見えるほど薄いので、いかにもはかなげで、かつファンタジーである。
貝を耳に当てると海の声がするというが、この貝は耳に当てるには小さすぎる。
海岸に着いたサーファーは、波の具合が気にかかって沖をみるばかりで、足許には注意を払おうとしない。波打ち際を歩いてみれば短時間のうちに桜貝の貝殻をいくつも拾えるというのに。