悪循環

遅まきの歳暮まいらす故郷便

ようやく伊勢の芋が届いた。

これをお歳暮に贈るのであるが、いつもの年ならもっと早い。今年は天候のせいかどうかずいぶん収穫が遅くなったとみえる。
宅配営業所はといえば、歳暮ハイシーズンのころの荷物満杯に比べると落ち着いていていたが、年末に近づけばまた荷が増えるのにちがいない。人手不足の時節柄いっときの静けさとも言えるだろうか。
それにしても年末に郵便料金の大幅値上げのニュースが飛び込んできた。
土曜配達の中止、翌日配達の中止、サービスが落ちるいっぽうでの値上げとくればさらに需要が落ち込んで、値上げ->需要減の悪循環に陥りそうである。

感服

歳暮ともつかず手打の蕎麦贈る

習い始めたという蕎麦が届いた。

テレビなどで素人が挑戦する場面を見ると、最後の刻む段になってたいがいが太さもまちまちの、見た目からしてうまそうには見えないことが多いが、たまにコメントをくれるH君の場合はちがった。
これは性格がなせる技かもしれないが、まるで器械ででも刻んだように細く曲がりのない見事なできなのである。
学生時代以来の友人だが、そんな細かなことが得意とは意外で、話を更に聞くと公民館の料理教室に通っていて今は蕎麦打ちコースに挑戦中なのである。
結婚式に招かれたときも、いつの間に洗礼を受けたのか、聖徒として教会で神妙な顔つきで誓いの言葉を述べていたのにも驚かされたが、彼にはこうしてときどき驚かされることがある。
学生時代、ポン友であったり、一緒に悪行の数々をなしてきた同期から見てもそれはそれは意外な変貌に映るのである。
お孫さんの誕生でご夫人が長い間留守をしていても、自分の飯くらいちゃんと作れるというのだから、かつての悪友からすれば到底及ばぬ高みに到達したと感服するしかないのである。

久闊を叙する

特産の歳暮に寄するかの地かな

友人や知人からとどくお歳暮には土地の名産が多い。

H君からは長いも、N君からは辛子明太子、Sさんからは林檎(今年は遅れているという)などなど。
それらにはおのずと土地柄があらわれていて、いただくたびに彼の地をしのぶよすがとなる。
さらにまたそれらを生み出す山河の姿も浮かんでくるのである。
コロナ禍で会うこともかなわないが、御礼の電話で久闊を叙するのもまたよきかなである。