氷面鏡

神鹿に御慶述べゆく句友かな

吟行句会でよくお世話になる奈良公園。

この日は放射冷却の厳しい朝だったが昼間は晴天、しかも風もほとんどないという絶好の吟行日和。霜解けの公園内のかしこで鹿が日向ぼっこしている。出会う鹿を見つけては「おめでとう」と声をかける仲間もいて、約1万歩の吟行も無事に完了。

それにしてもベテランの方々の言葉をよくご存じであること。この日は大仏殿東にある池も凍っていて、日の射している部分は解けているのだが、大きな杉の木の影になっている部分は凍ったままだ。この景をなんとかものにしたいと粘ってみるが、時間切れ。
披講となって、同じ光景を詠んだと思われる句が読み上げられてハッとさせられた。

大杉の陰に残りし氷面鏡

なるほどなあ、と眼から鱗の思いであった。