荘厳を排し涼しき九体仏
今日は36度予想のなか浄瑠璃寺への吟行。
奈良の市街を離れ京都南端の当尾(とうの)の里にしずもる寺の境内に入ると、大きな浄土池もあって幾らか涼しくて救われる思いがした。
平安貴族によって九品往生の思想がひろく信仰され多くの九体仏が作られたが、当時のものが現存するのはここ浄瑠璃寺だけで、本堂、九体仏とも国宝という見かけからは想像もできない何とも豪勢なお寺である。
掲句の荘厳(しょうごん)というのは、仏の頭上に天蓋をかけたりしてして飾ることを言うが、ここの九体仏さんにはそのような飾りはなく、建物自体も天井板を張らず屋根材が丸見えの質素なしつらえである。九体の如来さんたちがその薄暗い本堂に半眼を開いて着座されていて、外の炎暑はどこへやらしばし涼しいときに満たされる。
吟行を終えてバスを待つ間、蜩が見送ってくれた。もう秋はそこまで来ているようだ。