おどろのもの

あらためて昼見る花の烏瓜
白昼のおどろに咲いて烏瓜

この世の花とは信じがたいものがある。

初めて見たときの気味悪さというのはない。まるで粘菌のお化けのようだ。
これがあの烏瓜の花だと聞いて唸ってしまった。
烏瓜は、どちらかといえば、荒れた土地の、周りの葉が枯れる頃に赤い実を晒すことが多いので、このように真っ昼間から、白昼堂々と眼前に顔を出されればどのように対処していいのか戸惑ってしまうのである。
きのこ菌がアメーバのように四方八方に伸びたような姿は、どうみても日陰の身であるべきである。夜に咲くとは聞いていたが、お天道様の前でも我が物顔というのはなかなかしぶとい輩である。
しかも、もう仲秋になろうかという時期である。
澄んだ季節に、おどろおどろしたものはいただけない。