おどろのもの

あらためて昼見る花の烏瓜
白昼のおどろに咲いて烏瓜

この世の花とは信じがたいものがある。

初めて見たときの気味悪さというのはない。まるで粘菌のお化けのようだ。
これがあの烏瓜の花だと聞いて唸ってしまった。
烏瓜は、どちらかといえば、荒れた土地の、周りの葉が枯れる頃に赤い実を晒すことが多いので、このように真っ昼間から、白昼堂々と眼前に顔を出されればどのように対処していいのか戸惑ってしまうのである。
きのこ菌がアメーバのように四方八方に伸びたような姿は、どうみても日陰の身であるべきである。夜に咲くとは聞いていたが、お天道様の前でも我が物顔というのはなかなかしぶとい輩である。
しかも、もう仲秋になろうかという時期である。
澄んだ季節に、おどろおどろしたものはいただけない。

“おどろのもの” への4件の返信

  1. 実際にはこの花を見たことがありませんがこれほど花と実が結びつかないものはないですね。
    鮮やかな朱色の実は意外と生け花に重宝されます。
    この写真を拡大してみたらまるで食虫植物のようで伸びた花の先端に絡め捕られそうな錯覚を起こします。
    花の大きさは違いますがちょっとグロテスクな南国の花にも似ています。

    1. 見た目の大きさ、直径で5センチくらい。
      たしかに、食虫植物のようにも見えます。意外に真っ白なんですよ。せめて日陰の身でいてほしいくらい、これも異形の花でした。

  2. 「おどろのもの」ですか、確かに。烏瓜の変貌も面白いですね。おどろの花からかわいいウリボウへ、そして朱色の実へ。夏から秋、長い時間楽しめますね。今から彼岸花ですかね。5日ほど目を離していたらニョキニョキ。世間に何があろうとオレは一気に伸びるんだ!あの勢いには勇気づけられます。

    1. 彼岸花はタフですね。雑草茫々としていた堤防が、草刈りの後一週間もせずに咲き始めるのには驚きました。あの生命力には脱帽です。これをうまく詠んだのが、

      土堤刈つてより二日目の曼珠沙華 飴山實

      飛鳥も見頃だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください