虫の知らせ

町の灯を雲に映して無月かな

町明かりのある雲。

雲が低い証しであろう。
夕方4時頃大粒の雨が突然降ってきて、一時間くらい降ったろうか。今日の月は無理かなとあきらめていたら、夕方7時頃突然隣町のものと思われる季節外れの打ち上げ花火が聞こえてきた。花火に照らされて雲が明るくなる。
今日は上がる方向が甍の正面、東南のためいつも以上の人が外へ出てきて楽しんでいる。
今日は仲秋の名月。雨の後涼しくなって虫の声が爽やかである。ただ今日家人に言われて気づいたのであるが右の耳がやや遠くなっているらしい。
庭を右に座ると庭の虫が判然としないのである。左を向ければはっきりと聞き分けられる。
虫の知らせと言うのではないが、虫のおかげで思わぬことを知ったというわけである。

雲間あるか

ふるさとの古家泊りの無月かな

仲秋の名月だが雲でさえぎられて終わりそうである。

今年は月齢と満月がぴったり一致する年というので、陰曆8月15日の今日と満月が重なることになる。ここ数日は比較的晴れることが多かったので期待も大きかったのであるが、待っても期待できそうもなく無念である。

今日は渓山さんご夫婦が実家への途中立ち寄ってくれた。本来ならばお茶だけでもと家にあがっていただくのであるが、時節柄もあって玄関前の立ち話とあわただしいのは残念であったが、6,7年ぶりの再会を喜び合うことができた。
掲句はご夫婦の実家泊まりの空を想定してのものだが、少しでも雲間にのぞかせてくれればといのるような気持ちで詠んだ。

狩野川台風並みとは

月無くて明日の闘球なかりけり

本来なら後の月ですばらしい月の夜のはずだが。

台風の影響であろう、空気はやや熱と湿気を帯び、ちょっと動くだけで汗が流れてくる。
ちょっと動くというのは、台風に備えてのいろいろのことで、殘り蚊に刺されながら重いものを動かすなどなかなか重労働である。
とはいえ、先般の風台風でひどく被害を受けられた地域の方々のご苦労に比べれば何と言うレベルのものではないが。
四年待ったラグビーW杯の好試合二つがすでに中止と決まって、首都圏はじめ各地が緊張に包まれている。ひたすら無事を祈るしかない。

気の早い話

かかりたる辺りは知れる無月かな

いつになったら秋晴れが仰げるのだろうか。

秋雨前線が随分長く居座っている。
まさか、今年の仲秋の日(27日)まで続くとは思えないが、ここんところの異常気象である。想定をはるかに超えたことが現実に起きているわけであり、あり得ないことはないだろう。
そんなことを考えていたら今日の曇り空である。
名月の日の天気がこんな調子だったらと作ってみたのが掲句である。

薄曇りだったら月のいる場所くらいはぼんやりと見えるだろうか。
さらに最悪は当日雨なら「雨月」。
はたして今年は。