市民權

焼酎と肉を少しの大往生
焼酎のたかが一合預けおく
焼酎のボトルキープの世となれり
市民權得て焼酎の銀座にも
預けおく焼酎棚の馴染みの名

暑いさなか、健啖にして長生き。

おまけに肉と酒は欠かさずという元気なご老人、とくにご婦人にお会いすると、とてもじゃないが敵わないという気がしてくる。
酒は長寿の秘訣とされるが、生きながらえてなお元気。病などつけいる隙もなく、最期はもう老衰死しか待ってないだろうという気さえしてくる。
その酒のなかでも、焼酎はかつてガテン系、肉体労働者の飲み物とされていた。とくに、芋焼酎の独特の臭いがあって、まいど飲んでると息さえ臭いとか、「焼酎焼け」といって顔が赤黒く見えるようになるとか、飲まぬ者から敬遠されていたものである。
ところが、メーカーの努力で商品改良がすすみ臭いを少なくしたり、マーケティングが効を奏して健康にもいいとかされて、今では高級クラブでもボトルキープされるほどで隔世の感が深い。
元気なうちは日本酒、ビール、ウィスキー、ワインなんでもござれと浴びるほど飲んでいても、酒量が落ちてきたり、ドクター制限があったりして、焼酎の水割りに落ち着いてきた御仁は多い。決してうまい酒とは言えず、ようするに最低限酔えたり、宴席気分にひたれる、あるいは酒席で適当にお茶を濁す場合に重宝することなどが支持されている要因ではないかと思うのだが。
飲兵衛現役が、あの安い焼酎でさえ飲み残してボトルキープするなど、いささかセコイ感じがしないでもないが、店のサービスも世に連れである。