尾ひれをつける

河岸変へてまた潜き初む獺祭
河岸変へて獺の祭の尽きるなし

「獺祭」とは七十二候のひとつで、雨水の初候を言う。

「獺(おそ)の祭」とは、この時期、獺が獲った魚を岸に並べるようにして食するという故事から派生した季語である。勿論、「猿酒」などと同様に遊びとしての季語なので、架空の話に尾ひれをつけて面白おかしく詠めばいいわけだが、これがなかなか難しい。

芭蕉に、前書き「膳所へ行く人へ」とあって、

獺の祭見て来よ瀬田のおく

という句がある。これなどは「かわうそ」と読ませるのだろう。
声を掛けられた人も、分かった上で「いいかもね」と答えたことだろう。