田水沸きうごめく蝌蚪の月遅れ
油面のようにぎらぎらとした光りを返している。
足を突っ込めばおそらく長くは入れないくらい熱く湯のようになっているはずだ。
そんな熱い水田にちょろちょろとうごめく黒いものが見える。
最近孵ったおたまじゃくしである。春の季語とされるが、種類によっては今ごろ孵化するものがいるようで、多分これは雨蛙の類いではないかと思う。
水深十センチ足らずの田水だから、晴天が三日も続けばたいていの生きものは煮えたぎったり、生息できないと思われるがこの逞しさはどうだ。
これらを狙って鷺の仲間が集まるのをよく見るが、日中のこの熱さでは鳥だって休んでいるに違いない。