焦燥感

冠木門見越しに闌ける白木蓮

旧家の中庭に立派な白木蓮がたけなはのときを迎えている。

と言うか、部分的には錆が出てはや盛りを過ぎているようでもある。
振り返ってみるほど立派な木蓮だが、それ以上に驚いたのはときの速さで、家に籠もっている間にどんどんときに置いて行かれるような焦燥感に襲われている自分を発見したことだった。
町民農園には耕人の姿もちらほらと見られ、暮から捨て置かれた畑には菜の花の黄が目立つ。
蝶の姿はどういうわけかあまり見ない。虫たちだってときに置いていかれているのではないかもしれない。